日本の仏教には現在大きく分けて13の宗派があると言われます。伝教大師の平安時代初期には奈良に南都六宗(現存は華厳宗・法相宗・律宗)がありました。それに平安時代に天台宗と密教系の真言宗が加わり、鎌倉時代には念仏系の浄土宗、浄土真宗、時宗。禅宗系の曹洞宗、臨済宗、黄檗宗。法華経系の日蓮宗が加わり発展して来ました。

その中で天台宗だけが、これと言った特徴を持っていないように思われがちですが、天台宗だけがそのすべて「円・密・禅・戒」を網羅して総合的な仏教を展開していますので、それ故に天台宗の教えは何かという事が、よくわからないという結果になるのかもしれません。しかし決まった色が無いのが天台宗のあり様であり、それが伝教大師の考え方と言っても過言ではありません。

先ずは天台宗の名前の由来ですが、中国の上海の少し上の方に天台山という山があり、天台山は古くから神の住む山と言われ、道教の霊山としても有名でした。そこで今から1,500年程前に天台大師智顗(ちぎ)が法華経を根本とした教団を開いた事から天台宗と言われます。この時代の日本はやっと仏教が伝来した時期で、すでにその頃中国では天台の教えが生れていたのです。そこから数えると現存する日本の宗派の中では一番古い宗派となりますし、ここで生まれた天台思想が今の日本仏教に与えた影響は計り知れないものがあります。

大本山比叡山延暦寺は最澄が788年(延暦7年)比叡山に一乗止観院(後の根本中堂)を建てたのが始まりで、入唐して天台学を学び天台宗を開創、比叡山を中心として教団の確立に努めました。大師の没後823年に嵯峨天皇から延暦寺の名前を賜っております。伝教大師は天台大師の法門を受け継ぎ、日本天台宗を開きましたが、中国天台宗の教義や修行法をそのまま移した訳ではありません。中国天台の思想を根本としていますが、日本的な特色をもたせています。(現在も中国に天台宗は存在します)

その特色が「円・密・禅・戒」の「四宗融合」と呼ばれるもので、四宗とは「円=法華経」「密=密教」「禅=座禅」「戒=戒律」の四つの事で、天台法華に限らず、これらをすべてまとめて四宗相承の日本天台宗を建てられたと言う事です。さらにその後、第三代天台座主の慈覚大師円仁が中国五台山の「念仏」も伝えますが、伝教大師は顕教や密教、あるいは禅とか戒といったものにとらわれずに、お釈迦様の教えすべてを「法華経」の精神で統合統一して行こうとされたのです。

このような総合仏教的な天台宗の考えがあったからこそ、鎌倉時代には各宗派の祖師達が、比叡山から拝出され、様々な宗派を開いていった事につながるのです。後に法華経を根本としていったのは日蓮宗さんであり、天台宗も正式な呼び名は「天台法華円宗」と言います。密教があるのは天台と真言宗だけです。曹洞宗や臨済宗の特色である座禅も天台では「止観」と言いよくされる修行法です。浄土宗、浄土真宗が根本とする、「お念仏」や「極楽浄土」の考えも天台宗の教えから出たものなのです。

今でこそ天台宗は他宗と相対して位置づけられていますが、天台宗開宗の経緯からみれば、単なる一宗派ではなく、天台宗がそのまま仏教そのものであるという教義と存在意識を持っており、その根本となるのが「四宗融合」の考えなのです。

天台宗宗憲にも「伝教大師の本義に基づいて、円教、密教、禅法、戒法、念仏等いずれも法華一乗の敬意をもって融合し、これを実践する」とあります。この世に存在するものすべて仏性を備えており、それを自覚し、常に心身の修行を怠らず仏性の開発に努め、理想的な社会を建設していこうというのが、天台宗の教えなのです。

伝教大師

不滅の法灯

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